こんにちは。
前回の続きの内容です。
最後のシフト
店長の【岡山転勤発言】から丁度一週間。
店長と会える最後のシフトです。
約３年間、お世話になった店長。
しんみりするのも嫌だなと思い、いつも通りバックヤードに入り挨拶をしました。
大岩「お疲れ様です！店長！」
店長「お疲れ様ー」
大岩「・・・・・・」
店長「・・・・・・」
いつもあんなに下ネタトークで盛り上がっていたバックヤードが静まりかえっていました。
大岩「・・・じゃ、レジ行ってきまーす！」
その空気に耐えきれなくなった僕は、レジへと逃げました。
レジを打っている最中も、頭の中は【店長に何と言えばいいのか】でいっぱいでした。
レジが終わり、再びバックヤードに戻りました。すると店長が、
店長「・・・よし！最後の品出しするか！」
と急に言ってきました。
※品出しとは・・・新しい商品を店頭に並べること
店長が何気なしに付けた”最後”という単語。
僕にとっては胸が締め付けられる単語でした。
品出しの商品はハロウィングッズ。
二人で品出しをしながら何気無い会話をしました。
大岩「もうハロウィンなんですねー」
店長「ついこの間まで、花火とか出してたのにな」
大岩「何か毎年この話してる気がしますね」
店長「・・・うん」
大岩「・・・・・」
店長「・・・・・」
ずっと何だこの空気。
こういう空気って若い男女の間にしか生まれないんじゃないの？
なんで坊主とおじさんの間に、しかも品出し中に生まれてるの？
そんな事を思いながらも、やはり寂しい気持ちは増してく一方でした。
恋する乙女のように
品出しを終えた二人はバックヤードに戻りました。
その時点で店長のシフトは終わっていました。
僕は店長より１時間遅く終えるため、店長のほうが帰りが早いのです。
帰り支度を始める店長。
バックヤードに流れる虚しくて切ない空気。
僕は「ここしかない！」と思い店長にある物を渡しました。
手紙です。
３年間の店長への感謝の気持ちを詰め込んだ手紙です。
【岡山転勤発言】から一週間、店長に出来る事は何かと考え、色々なプレゼントも考えました。
しかし、最終的には気持ちが一番伝わる気がした手紙にしたのでした。
校舎裏の恋する乙女の如く、深く頭を下げ手紙を渡す坊主。
喜んで泣いたりしてないかなと店長の顔を見上げると、
めちゃくちゃ引いてました。
そりゃそうですね。
こいつから、シフト最後の日に、声振るわせながら手紙渡されたんですから。
愛の告白か何かだと思うのが普通です。
大岩「いや、違いますよ！告白とかじゃないですからね！」
店長「いや・・・分かってるよ」
普通に引いてました。
【手紙を書いている】という事自体に引いてました。
やばい。
僕は思いました。
なぜなら、僕は封筒に手紙と一緒に”ある”物も入れていたのです。
サイン色紙です。
①「イタいなぁ」
②「ナルシストだなぁ」
③「いいねぇ」
皆さんの反応は大きく上記の３つに分かれたと思います。
①、②を選んだアナタ！
正常です！
そのままでいて下さい！
③を選んだアナタ！
残念！
貴方は周りから良く思われていない可能性があります！頑張って生まれ変わりましょう！
僕は、手紙を書いている際、手紙を書いている自分に酔い、
芸人を応援してくれている店長にサイン色紙を渡したら感動すんじゃね？
くらいの感じで同封してしまったのです。
僕は「早くその場から逃げたい」と思い、手紙で引いている店長に
大岩「必ず家で開けて下さいね！前出し行ってきます！今までありがとうございました！」
と雑に挨拶をしてバックヤードを去りました。
※前出し・・・陳列してある商品を前に出す事
前出し中に・・・
自分の不器用さに後悔しながら前出しをしていると、
急にお客さんから声をかけられました。
しかし、そこにはお客さんではなく、いつもの笑顔の店長がいました。
前出し中の僕の所にわざわざ来てくれたのです。
しかし、少し、本当に少しだけ目の奥が悲しんでいる気がしました。
若干の沈黙の後、店長が口を開きました。
店長「・・・今まで本当にありがとう、世話になったな」
大岩「何言ってるんですか！お世話になったのはこちらのほうですよ！」
そう言い頭を下げると店長との思い出が蘇ってきました。
腕相撲で僕に勝った時の店長
夢がふんわりとしすぎてる店長
可愛いお客さんを見つけた時の店長
いつも応援してくれてた店長
僕はそんな店長が大好きでした。
目を合わせたら確実に泣いてしまうと確信した僕は頭を下げたまま、店長に言いました。
大岩「今度会ったときは是非ご飯に行きましょう！」
店長「ああ！絶対に行こう！」
周りのお客さんの目も気にもせずに僕は再び大きな声で言いました。
大岩「今まで本当にありがとうございました！」
そう言われた後の店長
いやバレてるんかい
別れ際まで『店長』らしいなと思いました。
まとめ
以上が僕の大好きな店長の話でした。
最後まで読んで下さった方ありがとうございました。
店長孝行したい時に店長は無し。
皆さんも店長とは仲良くして下さい。
ついでに・・・
最後の別れの挨拶をした後日、メッセージでお礼の言葉を伝えると、すぐに返信メッセージをくれました。
サイン色紙に価値がつくよう頑張ります。
それでは。また更新します。
