こんにちは。
前回の続きの内容です。
無事、無神経チケット販売員との戦いを終え入園を果たした僕。
雨の影響でお客さんが減っているという【ラッキー状況】に心踊らせていた僕でしたが、それがぬか喜びダンスだという事にすぐ気がつきます。
そうです。
全体の人数が少ないせいで、逆に【1人で園内を歩いている男】がめちゃくちゃ目立つのです。
目立つ。
目立つ。
超目立つ。
この写真を撮る度に僕の中の【羞恥心メーター】は上がり、それと同時に周りの人たちからの【不審者メーター】も比例して上がっていきます。
そんな中【1人男】は、一通り園内を歩いてお客さんを大きく3種類に分ける事に成功しました。
①男女カップル
②子連れ家族
③女子小学生グループ
上記の③がかなり強敵。
ずっと園内をテンションMAXで走り回っているくせに、僕の近くになると「刺激しちゃダメだ」と急に黙り、ゆっくり歩き始めるのです。
その余計な危機管理能力は僕の存在を、周りの目から【完全な不審者】にするのに十分すぎる対応でした。
自然と①と②も僕に近づかなくなり、さらに【1人男】は目立って行きます。
ふと、ブログ用のメモ(出来事などを忘れないため)を見ました。
もしかしたら僕は本当に不審者じゃないのか?
そうも思えてきました。
【1人不審者】は「このままじゃマズい」と思い、お客さんが増えるまで園内のベンチで待機することにしました。
テンションだけは下げないように!
そんな気持ちで、雨上がりで濡れていたベンチに座るために水滴を手で拭いました。
もうやだ。
帰りたい。
テンション0の僕は、泥のついた汚い手で頭を抱え、静かにベンチに座り込みました。
1時間ほど経ったころでしょうか。
濡れたコンクリートを眺めている僕の耳に、急に男性の声が届いてきました。
謎の声「あのぉ~、少しお話よろしいでしょうか?」
僕は「ついに警察を呼ばれたか」と観念し顔を上げました。
するとそこには警察ではなく、同い年くらいの青年が立っていました。
(撮影許可、掲載許可、頂いております。)
僕「え?」
青年「実は僕たち、今度、大学の講義で『平日に遊園地に来ている人について』というのをやるんですが、インタビューよろしいでしょうか?」
なんて【残酷な講義のテーマ】だ。
「逃げちゃ駄目だ」と分かっていても逃げたくなる。
それに「僕たち」だって?
青年の背後を見ると、確かに青年の20mほど後ろに女性二人がいて、こちらをコソコソと見ていました。
女性二人は①、②と同じ反応をしていました。
僕は「これ以上心の傷をえぐる訳にはいかない」とすぐに視線を青年に戻しました。
青年「思っていた以上に人が少なかったので困っていたのですが、やっと一人目、声かけることに成功しました!・・・お話いいですか?」
僕「・・・別にいいですよ」
絶対アンケート1人目に声をかける相手ではない。
そう思いながらも会話を続ける事にしました。
青年「では早速、何故、一人で遊園地に来ているのでしょうか?」
ぐはっ!
いきなりダイレクトアタックしてきやがる。
僕「えっとぉ~、説明すると長くなるんですけど、何かぁ、罰ゲーム的な・・・」
青年「ほう、罰ゲーム的なというのは?」
僕「いや、何か、自分で・・・」
青年「・・・自分で?」
マズい。
ただでさえ不審者扱いされているのに、「自分で自分に罰ゲームとして、一人で遊園地に来た」なんてサイコパス発言したら不審者確定だ。(間違ってはいない)
僕「いや、なんか、一応・・・芸人みたいな感じの事をやってまして、それでライブの企画で決まったみたいな・・・」
僕はやんわり嘘をつきました。
青年「なるほど!ちなみにですが、そのブログの名前などを教えていただいてもよろしいでしょうか?」
僕「いや・・・それはちょっと」
青年「お願いします!」
僕「大岩の・・・・・・ポメラブログです」
なんだよ!このブログの名前!
ぼくは心の中で自分のネーミングセンスを強く憎みました。
その後も幾つか質問をされた後、青年は礼を言い去っていきました。
最後まで女性2人は近づこうともしなかったなぁ。
僕はもう一度、あのベンチに座りました。
園内で1番落ち着くポイント。
20分ほど経ったころでしょうか。
晴れてきました。
[晴れてきた]=[お客さん増える]=[1人男が紛れる]=[勝ち]
僕は「お客さんが増えるのも時間の問題だな」と思い、その間、昼食をとる事にしました。
園内の飲食店に向かっていると、先程の大学生に再び会いました。
青年「あ!どうですか?調子は?」
僕「あ、まあ、ぼちぼち・・・」
青年「頑張って下さいね!」
僕「ありがとうございます・・・」
女性二人「・・・・・・・・・・・」
なんだこの定期的に辱められるイベントは。
しかも園内のお客さんがまだ少ないので、青年エンカウント率もかなり高いのです。
僕は逃げるように飲食店に入りました。
(飲食店というよりは、サービスエリアにあるような飲食店のような簡単な作りのもの)
入った瞬間、僕の中の羞恥心は何倍にも膨れあがりました。
お客さんが僕1人。
それに対し、店員が男女2人。
そして2人とも「え、1人?」という顔を明らかにしたのです。
自意識過剰かと思うかもしれませんが、【1人遊園地】は自意識をMAXまで上げる効果があるのです。
僕は決して目を合わせず、2人の前に行きました。
メニューを聞かれたので、カウンターの上にあるメニュー表を見ました。
適当に醤油ラーメンかなんかで済ませるか。
そう思っていた僕の目に気になる文字が入りました。
『家系風ラーメン』
家系風?
僕は【遊園地の中にある家系ラーメン】という事と、その【風】というのが気になり『家系風ラーメン』と、ついでに『半チャーハン』を頼みました。
女性店員「こちらの1番の札を持ってお待ち下さい!!!」
札いらないだろ!!!
すでに僕の【羞恥心メーター】と【自意識過剰レベル】はとてつもないことになっていました。
隅っこの席に座ると、店員2人が仲良くカウンター内で談笑している話し声が聞こえてきました。
男性店員「あの1人で来てるヤツ、やばくね!」
女性店員「マジできもいよね!しかも1人で家系風ラーメンと半チャーハン頼んでたよwww」
男性店員「なあ!アイツの事『家系風ぼっち』って呼ばね?」
女性店員「キャハハ!wwwそれ採用~!」
自意識超過剰の僕には、談笑全てがそう聞こえてきます。
帰りたい。
心の底からそう思った時、
女性店員「番号札1番でお待ちのお客様~!」
僕は呼ばれました。
女性店員のラーメンを渡してくれる際の笑顔でさえ「これが『家系ぼっち』のマヌケ面かぁ~、ウケるwww」という笑顔に見えてきます。
メンタルボロボロの僕を救ってくれるのは、もう『家系風ラーメン』と『半チャーハン』しかありません。
期待と不安の中で受け取った『家系風ラーメン』と『半チャーハン』がこちらです。
おぼんデカ。
しかし僕はそんな事はどうでも良かったのです。
味さえ良ければ僕は救われるのです。
僕は急いで『家系風ラーメン』を口に運びました。
中の下。
『家系風』とは良く言ったもので、『家系』の”家”は『実家』とかの”家”を指しているんじゃないかと思うレベルの麺の歯ごたえ、スープの薄さ、具の少なさでした。
午前中の精神的ダメージを受け、さらに家系風ラーメンにまで騙された僕には、『半チャーハン』のみが本当に最後の救いでした。
頼むぞ!『半チャーハン』!
マズい。
本当にマズい。
あんまり食べ物を「マズい」など言ってはいけないと分かっているが、そのモラルをぶち壊すほどマズい。
うまく言えないが「ガソリンで炒めたのか?」というくらい油臭い。
そのくせ「自分の舌が死んだのか?」というくらい味が無い。
とにかくマズい。
ああ。
帰りたい。
僕は信じていた『半チャーハン』にまで裏切られ、燃え尽きるようにその席で帰りの電車を調べ始めていたのでした・・・。
次回「真の遊園地マニア」
それでは。また更新します。